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集英社新書 統一コリアのチャンピオンーボクサー徳山昌守の闘い |
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徳山昌守(洪昌守・ホンチャンス)は、One Koreaと縫い取りをしたトランクスを着け、朝鮮半島をあしらった「統一旗」を持ってリングにあがる。在日コリアンである彼の悲願の「祖国統一」を、ボクサーとして拳で表現しているのだ。彼はどのようにして、WBC世界スーパー・フライ級チャンピオンの座についたのか。彼の先輩の朝鮮人ボクサーたちの苦闘を歴史を織りまぜながら、同じ立場の在日コリアンの著者が想いを込めて描く、壮絶なノンフィクション。時代は「平和統一」へのヒーローを待っていた。 |
◎2001年9月19日 第1刷発行
◎著者:高賛侑(コウ・チャニュウ) Ko-Chanyu
一九四七年生まれ。朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮関係月刊誌『ミレ(未来)』編集長を経て、現在、ノンフィクション作家。甲南大学非常勤講師。国際高麗学会会員。自由ジャーナリストクラブ世話人。専門は在日を含む在外朝鮮民族問題。部落解放文学賞など受賞。著書に『アメリカ・コリアタウン』(社会評論社)、『国際化時代の民族教育』(東方出版)、訳書に『カレイスキー・旧ソ連の高麗人』(東方出版)ほか。
◎発行所:(株)集英社=〒101−8050 東京都千代田区一ツ橋2−5−10
TEL03−3230−6391(編集部)、03−3230−6393(販売部)
集英社新書ホームページ http://www.shueisha.co.jp/shinsho/
◎定価:本体700円+税
☆徳山昌守ホームページ http://www.chang-su.com/
※ご意見・ご感想をお寄せ下さい。また本書の普及にご協力いただける方は、メールでご連絡下さい。
E-mail kochanyu@hotmail.com
目次 |
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プロローグ |
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第1章 |
遥かなるリング |
| 洪家の家系/父・洪炳允/学校閉鎖令/見合い半分・恋愛半分/父と子の「体話」/東京朝高ボクシング部/インターハイの壁/東京都大会新人王/チマ・チョゴリ事件/夢と現実のはざま | |
第2章 |
リングに生きた韓国・朝鮮人の肖像 |
| 戦前の名選手たち/敢闘旗争奪戦/朝連が主催した戦後初の試合/在日選手の登場/「朝鮮の風車」玄海男/出自を公言した千里馬啓徳/日本ミドル級王者/表:戦前の全日本拳闘選手権大会における朝鮮人優勝者 | |
第3章 |
プロボクサーへの旅立ち |
| 大阪への第一歩/朝鮮人集住地・猪飼野/あなたは人形/全日本新人王/朝青員の仲間たち | |
第4章 |
挑戦と挫折 |
| 金沢ジムへの移籍/元東洋王者・金沢英雄/ボクサーの天性/北朝鮮選手の来日/北朝鮮ボクシング事情/日本チャンピオン・新井久雄/初めての敗北/日本タイトル初挑戦/崔仁淑との出会い/酒浸り生活/遅咲きの強豪・千里馬哲虎 | |
第5章 |
再起を懸けて |
| 新王者・チョ仁柱/闘争本能の再生/ターニング・ポイント−井岡弘樹戦/練習嫌いの習癖/山口圭司との合宿/東洋太平洋チャンピオン/リング上のプロポーズ | |
第6章 |
世界チャンピオンの座 |
| 世界戦の序章/浮上した国旗・国歌問題/われらの願い/南北首脳の握手/進展する南北交流/「在日」初の世界挑戦/仁淑の決心/異例のセレモニー/WBC世界チャンピオン/在日の星/歴史を開いた二人/放映されなかったテレビ/本名を名乗れぬ状況/英雄伝説第一章/二人だけのグァム旅行 | |
第7章 |
防衛への挑戦 |
| 勝負の世界に国境なし/錆びついた体/新井の引退/国旗勲章第一級/一難去ってまた一難/名護明彦との初防衛戦/記憶なき闘い/闘いはこぶし一つ | |
第8章 |
新世紀のリターンマッチ |
| 開催地はどこに/東洋太平洋新王者・石田順裕/ジャッジはいらない/世界卓球選手権大会/スランプからの脱出/写真集”Chance”/総連同胞応援団/「敵地」ソウル/公開練習/計量のハプニング/特設リング/戦慄のKO劇/グローブを持つ平和大使/チョ仁柱の謎/リング上の統一ボクサー | |
エピローグ |
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| 日本での反響/労働英雄称号 | |
本書は、在日朝鮮人ボクサーとして初のWBC世界スーパー・フライ級チャンピオンとなった洪昌守(リングネーム「徳山昌守」)選手の闘いの軌跡を記録したノンフィクションである。
彼は二〇〇〇年六月に開かれた歴史的な南北首脳会談を契機として、南北の和解と交流が劇的に進展した時期に、韓国人の世界王者チョ仁柱を破って王座を獲得した。しかもガウンに「祖国統一」と刺繍し、勝利の瞬間には「チョソヌン ハナダ(朝鮮は一つだ)!」と叫んだ。
統一旗がなびき、「われらの願い」が響きわたる感動の坩堝のなかにいた私は、ライターの一人として、この歴史的事件を記録にとどめたいという衝動にかられた。が、それが容易な作業ではないことを思うと、躊躇せざるを得なかった。その一〇日後、集英社新書編集長の鈴木力氏と久々にお会いした際に、洪昌守選手のことが話題にのぼったとき、鈴木氏から「ぜひ本にすべきだ」という励ましを受けて本格的な取材を決意した。
洪昌守選手は名護明彦との初防衛戦に勝利したのち、二〇〇一年五月には初めて祖国の南半部である韓国に渡り、チョ仁柱とのリターンマッチを鮮やかなKOで飾った。まさに彼は歴史的な舞台で、小説以上に劇的なドラマを完成させたのである。
彼の人間的な魅力は、底抜けの明るさとひたむきさにある。とくに民族色に満ちた家庭で育まれた高い民族意識は、彼にたぐい希なパーソナリティをもたらしたといえるだろう。
ボクサーを過度に政治や民族的観点から評価するのは慎むべきだろうが、彼自身が語っているように、彼の奮闘が結果として在日同胞に勇気と希望をあたえ、さらには祖国の南北関係にも重要な影響をおよぼしているのはまぎれもない真実である。だからこそ人々は、民族史に名を残すにふさわしいチャンピオンとして惜しみない声援を送る。
彼が成し遂げつつある偉業の意味をより深く認識するためには、ボクサーとしての資質や人間性とともに、在日朝鮮人としてのアイデンティティをよく理解する必要があると思われる。そのため本書は、両親をはじめとする在日韓国・朝鮮人の歩んできた道、および南北朝鮮がたどってきた近代史をも含めたドキュメントとすべく努力した。本書が洪昌守選手のさらなる飛躍のための一助となることを願ってやまない。
最後になったが、本書の出版に際し、多くの方々のご協力をいただいた。快く取材に応じて下さった方々、貴重な資料を提供して下さった「ボクシング・マガジン」、「ワールド・ボクシング」誌、そして本書の企画から発行まで自ら担当して下さった鈴木力編集長に心からお礼を申し上げたい。
二〇〇一年六月二四日 高賛侑